【感想】スマガ ※ネタバレあり

好きな魔法少女アニメはリトルウィッチアカデミア

どうもこんにちは。八街です。

 

記念すべき1つ目の感想記事ですが、

2008年にNitro+さんより発売された、『スマガ』の感想を書いていきたいと思います。

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©Nitroplus

 

うん。13年前のゲームです。

いつのゲームの感想書いてるんだって話だけど、まぁやったことなかったからですよね。

 

最近は良い時代になりました。

どこのメーカーもFANZAさんやDLSiteさんでダウンロード版の販売を展開してくれているし。

さらに展開してくれている作品の中には既にロットアップしているものもちゃんと含めてくれているという。

 

そんなわけで最近では自分が成人する前のゲームを買い漁っていたというわけです。

 

とまぁ与太話はさておき、早速感想に入って行こうと思います。

 

 

 

  • スマガとは

  • 作品情報

基本的な情報は以下の通り。

タイトル

スマガ
ジャンル 人生リベンジADV
発売日 2008年9月26日
発売元 Nitro+
シナリオ 下倉バイオ
原画 津路参汰

 

シナリオ 下倉バイオさん × 原画 津路参汰さんという、

Nitro+を知ってたら知らない人はいないであろうコンビですね。

 

このコンビの作品としては「君と彼女と彼女の恋。」や「アザナエル」があります。

ちなみにどっちもプレイ済みなので、いつか思い出に浸りつつ感想書くかも。

 

  • あらすじ

空から襲う巨大な悪魔と平和を守る魔女の戦場となり、滅亡の危機に陥る伊都夏市。

ある日主人公は、何故か記憶喪失で大空から落下していること に気づく。いきなり絶対絶命のピンチの中で、焦る主人公。そんな彼の前に突然、彗に跨って空を飛ぶ3人の少女たちが現れた。主人公を尻目に空中で不可視の巨大怪獣と命懸けの戦いを始める少女たち。いきなりの非現実的な状況に混乱する主人公だったが、落下している現実は覆ることなく、地面に激突して死んでし まう。

――再び意識を取り戻すと、そこは天国、神の国だった。永遠と広がる何もない空間の中、目の前の巨大なテレビに映し出された、幼女がこう告げる。「わたちは神様でち。生き返りたいでちか?」

果たして彼は、彼女たちの、そしてセカイの運命を変えることができるのか?

 (ニトロプラス 『スマガ Nitro The Best! Vol.6』 作品説明より引用)

 

  • どんなゲーム?

スマガがどんな作品なのか、ざっくりと説明すると。

主人公は、『魔女エトワール』と呼ばれる3人のヒロインたちとの仲を深めながら、

死んでしまった際に特定の分岐点から生き返ることのできる力を駆使して、

悪魔ゾディアック』と呼ばれる敵からセカイを守る、そんなお話です。

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画像左から魔女の「ガーネット」「スピカ」「ミラ」。本作のヒロインたち。 ©Nitroplus

 

現代風に言うと「死に戻り系」の作品ですかね。

また、「ポスト・アポカリプス的な世界でのボーイミーツガール」や「戦うことを宿命づけられたヒロイン」、

「主人公とヒロインとの関係が世界の命運に関わってくる」といったところから、

セカイ系」の流れも汲んでいる作品になっています。

 

ただ、タイトルロゴやCGの雰囲気からも分かる通り、

本作は他の死に戻り系作品に対し、比較的ポップな雰囲気で作られています。

なので、あまり陰鬱すぎるのが得意ではない人にもお勧めできるかなと思います。

 

というところでざっくりとした作品説明は終わり。

ここから先はネタバレ前回の感想になるので、ここまでを見てやってみたいなぁってなった人は今すぐFANZAくんに行ってください。

 

 

 

  • シナリオ構成について

本記事においては、スマガのストーリー構成を分かりやすく称すために、

最初から進めていくことで回収できるスピカ√・ガーネット√・ミラ√の3つを第一章、

第一章の後に回収していくことになる日下部√・沖√・新スピカ√・新ガーネット√・新ミラ√の5つを第二章、

第二章の日下部√と沖√を回収することで始まるTrueENDを終章と呼ぶことにします。

 

  • 世界観

まずスマガにおけるセカイの常識について簡単に説明すると、

 

舞台は日本の「伊都夏市」。 

伊都夏市は突如発生した半径50キロ程度の半球体、「天蓋グレンツェン」に囲われており、

定期的にその天蓋を突き破って現れる「悪魔ゾディアック」に襲われていた。

悪魔を退治できるのは、「魔力リネア」を行使できる「魔女エトワール」だけ。

そして、人類の敗北条件は、魔女の本拠地である「天象儀カールツァイス」を悪魔に破壊されること。

 

悪魔の襲撃に耐えられない人々は、天蓋の外に逃げ出すこともあった。

しかし、人類は天蓋の外に出るとそれまでの記憶を失ってしまう。

そのため、自己の喪失を厭った人々は伊都夏市で暮らすことを受け入れている。

 

また、稀に天蓋を突き破って現れる人間を確認しており、

基本的には伊都夏市に受け入れることになっているが、

その人間が「前世の記憶を持っている」などといった場合は、天蓋の外へ追い出すこととなっている。

 

といった感じですね。

 

ここでは各キャラクターについてざっくりと語っていこうと思います。

  • 主人公

天蓋を突き破り、記憶喪失で伊都夏市上空に現れたときに魔女たちに発見され、

救出を約束されるも、悪魔に邪魔をされたことにより失敗。

ギリギリのところで助けに来たスピカ諸共地面にたたきつけられて1度目の死を迎える。

その時のスピカの言葉が彼の行動原理となり、望まない戦いをさせられている魔女を救うことを誓い、人生リベンジを始めるのだった。

 

というのがシナリオ次第で「オザキ」だったり「ユーマ」だったり「うんこマン」と呼ばれる本作の主人公くん。

彼は非常に真っ直ぐな性格をしており、

上手くいったときは調子に乗りやすく、大きな失敗をしてしまったときはすぐに折れてしまいます。

そう言った小市民的な人間味が、彼の良いところであり、この物語をハッピーエンドに導くカギになっています。

 

  • スピカ 

天蓋を突き破って現れた主人公が最初に出会うヒロイン。

自らを天才魔女と称する高飛車系お嬢様。

誰に対しても高圧的に接するが、その内には魔女として戦い続ける運命に対する諦観がある。

 

  • ガーネット

スピカとは正反対の庶民派魔女。

性格は基本的に温厚だが、料理とお金が関わると積極的になる所帯じみたヒロイン。

過去に兄を亡くしており、その影を主人公に重ねている。

作中で一番可哀そうな目に遭うヒロイン。バイオさんガーネットに謝って。

 

  • ミラ

スピカやガーネットが自分の本心を隠しがちなのに対し、フルオープンな直情型ロリ魔女。

他人の心の機微に聡く、嘘をついているか否か、本心からの言葉か否かが分かってしまう。

スピカとミラのことを何より大事な仲間だと思っており、世界の平和と彼女たちの幸せを心から願っている。

 

ミラがいなかったらどのEDも全部BADだったのでは?って思うくらい大事なキャラ。

 

  • 日下部雨火

謎の着ぐるみ盗撮女と名高い伊都夏大学園新聞部の部長。

セカイの真実を知ることを何よりの目的とし、魔女たちの陰で暗躍している。

時に過激な妄想にトリップしてしまうのが玉に瑕。

 

彼女のシナリオが個人的には一番好きです。詳細については後述。

 

  • 沖姫々

伊都夏大学園の生徒会長であり、防衛軍の総司令官。

防衛軍とは魔女の力に頼らず、現代兵器を利用して悪魔に立ち向かおうとしている軍団のこと。

元防衛軍の総司令だった父を亡くしていることから、魔女を信頼しておらず、

セカイは自らの手で守り抜くと豪語している。

真の姿は猫耳メイドらしい。

 

  • アリデッド

主人公の身元を引き受けた魔女たちの司令官であり、最初の魔女。

恐ろしいほどの魔力と迫力を持つが、私生活はだらしなく、エキセントリック。

スマガ自体はプレイしたことがなくとも、彼女の顔芸立ち絵を知っている人は多いでしょう。

 

私は最後まで彼女をヒロインとして見ることはできませんでした……

 

  • 各シナリオについて

  • 第一章について 

まずは第一章の内容について。

第一章はスピカ√⇒ガーネット√⇒ミラ√の流れで地続きになっており、

作中の回想では個別ENDの体を取っていますが連続した物語になります。

 

なぜこのような構成になっているかというと、

 

各エンディングで各ヒロインを救うことが出来なかったからですね。

 

スピカENDは、悪魔を倒して消えたスピカを追って主人公が自殺して終わり。

ガーネットENDは、悪魔の居ないセカイを作り出すも、それを維持しきれずセカイ自体が終わり。

 

確かにこんなエンディングだと後悔が残るよねってことで、

スピカもガーネットもミラもセカイも、全部を救おうとしたのがミラENDです。

(ミラENDと称していますが、まぁ実態はハーレムEND的なものだったりします)

 

そしてミラENDでは、ついに悪魔を根絶し、魔女やセカイを救うことに成功。

人生リベンジ完了!やったね!!

 

ってなるはずなのですが。

悪魔を根絶する過程で、主人公は新たな問題を見つけてしまいます。

それが、この物語の根源となる、このセカイを作った少女の存在です。

 

  • "セカイ"の秘密

1章終了時点までで明かされる、このセカイの秘密について。

それは「このセカイは、魔女の認識により構成される」ということ。

 

スピカは「成体になった悪魔を倒すには自分が犠牲になるしかない」と思い込んでいたから、実際に戦いの末犠牲になった。

ガーネットがは「主人公は悪魔」だと思い込んでいたから、実際に主人公に悪魔の羽根としっぽが生えた。

 

ミラは「セカイは救える」と信じ続けたから、結果的に悪魔を根絶しすべてを救うことが出来た。

 

魔女たちは「自分たちは悪魔と戦い続ける宿命にある」と思い続けたから、

伊都夏市には悪魔が現れ続けていた。

 

セカイを紡ぐのは魔女の物語。

だとしたら、このセカイの始まりは何なのか。

 

それが最初の魔女、アリデッドです。

と、言いたいところなのですが。

本当の始まりは別のところにあります。

 

それが、主人公が生き返る前にたどり着く天国に時々現れていた、謎のメガネでおさげの少女です。

その名も川嶋。

 

いや、誰だよ川嶋。

 

一旦川嶋は置いておくとして。

ミラ√において川嶋から、

「このセカイは川嶋によって作られたこと」

「川嶋の映し身であるアリデッドの認識によりセカイが構成されていたこと」

「セカイの観測者たる神たちに見せるため悲劇が繰り返されていたこと」

が語られます。

 

そこで主人公は気付きます。

この川嶋という少女を救わない限り、ハッピーエンドとは言えないんじゃないか?と。

そして、ここから第二章が始まります。

 

  • 第二章について

第二章には、日下部√・沖√・新スピカ√・新ガーネット√・新ミラ√の5つの√がありますが、

この中で重要なのは日下部√と沖√の2つです。

他の魔女ENDは、第一章の救えなかった後悔を補完するための√です。

 

そしてここからは主人公が変わります。

第一章の主人公はミラENDを終えた時点で天国に招かれ、神様になったので、

第二章からはその分身である新しい主人公を神様視点で観測することになります。

 

それを分かりやすくするための演出として、第二章以降の主人公にはボイスが付きます。

観測者になった第一章の主人公が、テレビ越しに第二章の主人公を見ているから、という若干メタ的な演出です。

 

第一章の主人公とか第二章の主人公とか、表記が分かり辛くなるので、

ここからは作中の表記に従い、

第一章の主人公をかちかちうんこマン、

第二章の主人公をやわらかうんこマンと呼ぶことにします。

 

いや、ホントに作中の表現なんですよこれ。ふざけてるわけじゃないですからね。

 

というのはさておき、かちかちうんこマンはやわらかうんこマンの活躍を観測しつつ、

時にアドバイスを送りながら川嶋を救う方法を模索し始めます。

その過程で生まれるのが、本項の初めで重要だと言及していた日下部√と沖√です。

 

そしてかちかちうんこマンは、

日下部√で川嶋の心に寄り添うために必要なことを知り、

沖√でこのセカイの真実について知ります。

 

  • "セカイ"の真実

先ほどは"セカイ"の秘密として「魔女の認識がセカイになる」ことを書きました。

ここでは何故そのようなセカイが生まれてしまったのか、ということに言及していきます。

 

その原因は

「世界の終わりを川嶋が嫌がったから」

です。

 

はい、意味が分かんないですよね。説明します。

 

スマガには大きく分けて2つのセカイが存在しています。

まず1つ目は川嶋が住んでいた世界Aです。

そして2つ目が魔女たちが住んでいる世界Bです。

 

ちなみにこの世界AとB。

作中では世界Aは「世界」、世界Bは「セカイ」と表記されます。

終盤になると世界Aの話をしだすので、その時のアリデッドの語り口には注目です。

 

川嶋の住んでいた世界Aは、突如襲来した隕石の存在に成すすべなく、

滅びを待つだけの世界になっていました。

 

そんな中で、どうせ世界が滅んでしまうのならと、思いを寄せていた先輩に告白することを決心した川嶋は、先輩を天文台に呼び出しました。

しかし、直前になり諸々の恐怖に襲われた川嶋は世界が滅ぶことを拒絶します。

その時、新たな世界である世界Bが生まれました。

 

そして、世界Bには世界Aの情報が封じ込められ、永遠に続く悲劇が繰り広げられることになりました。

 

世界Bを生み出した川嶋の罪悪感は悪魔となり、悪魔は天象儀を襲い始めます。

天象儀にある原器を――この世界の真実を暴き立てるために。

 

  • TrueENDについて

世界の真実について知った主人公は、川嶋を救い出すべく行動に出ます。

そして主人公が取った行動は――アリデッドの攻略です。

アリデッドの攻略です。

 

いや、まぁそうなるのは必然なんだけど。

川嶋有里の半身であるアリデッドを攻略するのはそうなんだけど。

 

それはさておきアリデッドを味方につけ、川嶋を説得し元の世界に戻った主人公。

天文台で待つ彼女に駆け付けた彼。思いを伝え結ばれるも、

落下してくる世界の滅びは止まってくれない。

 

そこに突如現れた4つの光が、星を砕き、花火となった。

世界からの想いがセカイを作ったように、セカイの想いも世界に届いたのでした。

 

というところでハッピーエンド。めでたし、めでたし。

 

というのがスマガの大まかなストーリーでした。

 

  • 日下部√について

ここでは個人的に好きな日下部√について語らせてもらおうかと思います。

 

日下部√における命題は

「死に戻りしている人間との恋は成立するのか」

ということだと思っています。

 

日下部は、死に戻りをしている主人公に対して明確に拒絶を突き付けた唯一のヒロインになります。

 

例えばプレゼントを貰ったとして、

それが最初に選んだものなのか、反応を見て死に戻った末に選んだものなのか。

そんな言い知れぬ不安を抱えなければならない人と、恋愛なんてできない。

 

というようなセリフがあったのですが、それはそうだなと思いました。

このあたりのことは、死に戻りというジャンルであまり触れられて来なかったところなのではないかなと。

 

だからこそ、主人公と日下部は天蓋の外に出るしか選択肢が無かったし、

そのことにより主人公は、あのセカイでの恋は同じ視点を持つ人としか成り立たない、ということに気付きました。

(これが川嶋を救うためのヒントその1になっています)

 

セカイを取るか、愛しい人を取るか。

スマガにおいてはどちらも取って見せる、という回答を前面に押し出している中、

日下部√だけは、愛しい人を選び、そのエゴを貫きました。

 

導き出した結末は、どこか歪んでいたかもしれないけど、

お互いを想い合う2人はどこまでも美しいのだなと、ちょっとだけ思いました。

 

  • まとめ

どこまでもハッピーエンドを求める主人公の姿勢、

死に戻りとセカイ系を上手く組み合わせたシナリオの技量、

それらが合わさり、他の死に戻り作品には無いテイストになっているんじゃないかなと思います。

 

むしろこのあたりの作品が今の死に戻りジャンルの走りですよね。

やはり下倉バイオは天才じゃったか。

 

と言ったところで、今回の感想は締めさせていただきます。

乱文・散文・駄文をここまで見ていただきありがとうございました。

また次の感想でお会いしましょう。

 

アリデッド……顔芸さえなければ……

 

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